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小林 和容; 林 巧; 西 正孝; 大矢 恭久*; 奥野 健二*
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1379 - 1384, 2006/02
被引用回数:5 パーセンタイル:36.38(Nuclear Science & Technology)ITERで用いられる各種材料は、異常時やメンテナンス時などにおいてトリチウムに曝される可能性がある。それによって、材料はトリチウムにより汚染するが、一般にトリチウム汚染は除染されにくい。そのため、トリチウム除染の方法を確立することを目的として研究を進めている。トリチウムの汚染・除染では、ソーキング効果と呼ばれる現象の影響が非常に重要である。ソーキング効果は、材料表面へのトリチウム水の吸着・脱離が主である。本研究では、代表的な材料としてエポキシ等を取り上げ、それらの材料表面における吸着・脱離現象を評価する実験を行った。トリチウム雰囲気に曝露させた実験では、これらの材料へのトリチウム吸着量が数週間程度で飽和する結果を得た。本報告ではエポキシ等におけるトリチウムの吸着・脱離の現象について、実験結果をもとに速度論的観点から議論する。
佐伯 正克
JAERI-Review 2004-011, 54 Pages, 2004/03
本総説は、筆者が関係した実験研究のうちから、放射性ヨウ素,トリチウム及びネプツニウムに関する研究成果をまとめたものである。ヨウ素の放射化学的研究では、多くの実験結果を総合的に判断し、放射性有機ヨウ素の生成機構を解明した過程を詳細に論じた。この生成機構に基づき、原子炉事故時における有機ヨウ素の生成の可能性等を検討した結果にも言及した。トリチウムに関する研究については、市販トリチウムの水素同位体組成分析,トリチウムの物質中での存在状態と拡散挙動,トリチウムの物質表面での吸着・脱離挙動、について研究成果を簡潔にまとめた。ネプツニウムに関する研究では、Npメスバウア分光で得た異性体シフトとネプツニウムの構造について、及びネプツニウム(VI)の水酸化物について述べた。
小林 和容; 林 巧; 岩井 保則; 西 正孝
Fusion Engineering and Design, 58-59, p.1059 - 1064, 2001/11
被引用回数:11 パーセンタイル:61.99(Nuclear Science & Technology)トリチウムの最終閉じ込め系を構成する建屋内におけるトリチウムの挙動及び雰囲気中からのトリチウム除去に関する研究は、核融合炉の安全性を確保するうえで重要である。原研では、12mの大型気密空間からなるトリチウム安全性試験装置を用い、空間中に放出されたトリチウムの挙動について研究してきた。この結果、放出トリチウム中に水蒸気状のものがある場合には残留汚染が顕著に現れてトリチウム除去速度を遅らせること、また、雰囲気の湿度が結果に大きく影響を与えられることを見いだした。さらに、この現象が、トリチウム蒸気の壁面への吸着・脱離によって説明できることを解析によって明らかにした。
武部 愼一; 向井 雅之; 古宮 友和; 神山 秀雄
JAERI-M 92-205, 19 Pages, 1993/01
未攪乱状態で採取した4種類の土壌試料を用いて、Co,Sr及びCsで汚染した土壌から脱離した放射性核種の大型カラムによる移行試験を行った。Coについては、カラム上部の高濃度吸着部分の下部に広い範囲にわたり平担な低濃度吸着領域が見出され、また、流出液中にも低濃度検出され、特徴的な濃度の時間変化が観測された。通気層土壌中の低吸着領域におけるCoの移行挙動について、非陽イオン性化学種の吸着及び脱離反応速度を考慮した核種移行モデルによる解析を試み、これらの試験結果をかなりよく説明することができた。
佐伯 正克; 平林 孝圀; 荒殿 保幸; 中島 幹雄; 正木 信行; 立川 圓造
Fusion Technology, 21, p.806 - 811, 1992/03
これまでに発表した、トリチウムと材料の化学的相互作用に関する研究成果を、まとめ総説したものである。まず、トリチウムの材料中における化学形を、4種類に分類した。第1は、材料中で化学結合しているトリチウムであり、炭素材料、Si、SiO、ガラス中などに確認された。第2は、分子状(DT,T等)で捕捉されているトリチウムであり、ArスパッタしたSUS表面等に認められた。第3は、原子状トリチウムであり、中性子照射したLiF中で、第4は、局在しているトリチウムでLiAl合金中の相やSUS321鋼のTi部分で観察された。次に、これらの存在状態や材料の化学的あるいは物理的性質が、トリチウムの拡散挙動におよぼす効果について、例を挙げて述べた。
堀田 平*
PNC TJ6557 91-045, 121 Pages, 1990/12
海水中のウランを採取する方法は、一般に次の様に分類できる。1.共沈法2.吸着法3.浮選法4.溶媒抽出法5.生物濃縮法本海水ウラン回収プラントのウラン回収方法は、このうちの吸着法によるものである。この吸着法は、有機系もしくは無機系のウラン吸着剤に海水を適当な期間接触させてウラン成分を吸着させ、その後それに溶離剤をかけてウランを溶離させ、濃縮工程を経たうえでイエローケーキを精製するという方法であるが、海水中に溶存するウランは、総量としては多くても(約40億トン)濃度は薄く(約3ppb)、多量のウランを回収するには膨大な量の海水を吸着剤に接触させる必要がある。この海水の移動を機械的に行うとすれば、莫大なエネルギーを消費することになり、その結果として回収コストが上り、経済性の面で問題点が出てくる。これに対して、海水を吸着剤に接触させるエネルギー源として、海洋に存在する波および海流のエネルギーを利用すれば、回収コストの低減を図ることが可能である。本海水ウラン回収プラントは、この波浪および海流のエネルギーを利用することにより、経済的効率を高めたウラン回収プラントである。2.全体システムの構成海水ウラン回収のプロセスは、1.吸着剤による海水ウランの吸着2.溶離液による吸着剤からのウラン脱離3.沈殿・分離により最終製品のイエローケーキを抽出する精錬の3工程から成り、この工程に対応した回収システムの具体的な設備は、一般に下記から成っている。1.吸着剤を保持し海水と接触させてウランを吸着させる吸着設備2.ウランを吸着した吸着剤からウランを塩酸等により溶離する脱離プラント3.脱離液を処理して最終製品であるイエローケーキを抽出する精錬プラント4.以上の各工程間の吸着剤、脱離液、イエローケーキ等の搬送設備5.各工程に必要な薬剤、水、燃料等のユーティリティを運搬・補給する設備上記設備を備えた回収システムの全体構成としては、各設備の方式や設置場所等多数の方式が考えられるが、本回収プラントは、下記のような吸着・脱離浮体および精錬船の組み合わせとしている。1.吸着・脱離浮体一点係留装置付きの四角全方向通水型構造で、浮体内には脱離プラント、脱離液タンク、塩酸タンク等を装備し、脱離までを行う。2.精錬船1.の浮体より脱離液を受取り、船上に搭載したプラントにより精錬を行ってイエローケーキを生産し、陸揚
佐伯 正克
核融合炉, 19, p.6 - 10, 1987/00
放射化学第1研究室の小テーマ2「トリチウムの放射化学的研究」において得られた、核融合炉開発関連研究についての成果を概説した。主な内容は(1)材料(黒鉛、SiO,LiF,Li-Al合金等)中でのトリチウムの拡散挙動及び存在状態について、(2)材料(SUS-316、パイレックスガウス)表面でのトリチウムの吸着脱離挙動について、(3)固体吸着剤(シリカゲル、モレキュラーシーブ等)に対するトリチウム水の吸着挙動及び吸着されたトリチウム水の放射線分解について、である。
倉沢 利昌; 竹下 英文; 吉田 浩; 渡辺 斉
JAERI-M 86-152, 81 Pages, 1986/10
照射下でのトリウム放出挙動はトリチウム増殖材の性能試験として重要であり、現在世界各国で同試験が行なわれている。本VOM-21H試験では酸化リチウムからのトリチウム放出特性を純ヘリウムガス及び重水素を1000Vppmまで添加したスイ-プガスを用いてスイ-プガス組成依存性及び温度依存性を調べた。本試験で得られた実験結果はこれまでの結果と比べ精度良く信頼できるが まだ再現性などに問題が残っていると思われる。また、トリチウム放出は完全に拡散支配であると言えず、照射試験表面におけるトリチウムの吸着、脱離等の表面現象に依存する面が大きく、これを良く把握する事が必要である。今後トリチウム放出に関する機構及びモデル研究が進んだ後に もう一度解析を試みる事が必要である。